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「ねえせんせい、おぼんってなあに?」
給食の時間、スイカを手にした子どもがぽつりとつぶやいたんです。
その日はクラスで「夏のくだもの」の絵本を読んでいた日。
スイカの話から、夏のお祭りや風鈴の話へと広がっていく中で、ふとこんな質問が飛び出してきました。
「お盆(おぼん)」は、毎年8月13日から16日ごろに行われる日本の伝統的な行事で、
ご先祖さまのたましいがあの世から帰ってくるとされる期間です。
この時期には、家族や親せきが集まって、ご先祖さまに「おかえりなさい」「ありがとう」「またね」と語りかけながら、お墓まいりやおそなえ、ちょうちんを灯すなどの供養を行います。
「おぼんかあ…」心の中でつぶやいた。
たしかに、知っているようでうまく説明できない「お盆」。
子どもの目線に立ってみると、これはけっこう難しいテーマ。
それでも、子どもたちは純粋な気持ちで問いかけてきます。
「なぜ?」の気持ちを大事にしたい、そう思って私は答えてみた。
「おぼんっていうのはね、むかしからある大切な行事なんだよ。
おじいちゃんのおじいちゃんとか、もっともっと前の人たちが、“ただいま”って、夏にいえにかえってきてくれるの。」
「えっ、おじいちゃんにおじいちゃんがいるの?かえってくるの?」
「うん、昔のおじいちゃんのね『こころ』っていうか『たましい』っていうのが、みんなに“会いにきたよ~”ってかえってきてくれるんだって。」
そう伝えると、子どもたちはちょっとふしぎそうな顔をして「へぇー」と返してくれました。
保育の中で、こうしたやりとりはとても大切な時間。
どこか目に見えないもの、説明しづらいもの。
だからこそ、子どもたちと一緒に“想像する時間”がうまれる。
絵本や写真を通して「お盆」の雰囲気を伝えたり、
帰省の話や、家族でお墓まいりに行った話を聞いたり。
子どもたちそれぞれの経験がつながっていくのも、この時期ならでは。
行事の名前だけを教えるんじゃなくて、その背景にある“人の思い”や“つながり”を伝えていけたらなって、
そんなふうに思った夏の日のひとこまでした。
お盆の間には、次のようなことを行うのが一般的です。
こうした行事を通して、
いまの自分たちにつながる“命のリレー”を思い出す期間が「お盆」なのです。
「お盆」は、もともと「盂蘭盆(うらぼん)」という仏教の言葉が元になっています。
これは、お釈迦さまの弟子である目連(もくれん)という僧が、亡くなった母親が地獄で苦しんでいる夢を見て、お経を唱えて供養したところ、母親が救われた──というお話が元になっています。
そこから、亡くなった人たちを思い、供養する行事として「お盆」が広まりました。
キュウリやナスに割りばしをさして、馬や牛に見立てた「精霊馬」。
という願いを込めて作られます。
子どもたちには「きゅうりの車と、なすのバスだね〜」といった言い換えで伝えると、身近に感じられます。
ある日の給食のとき「せんせい、うちのおばあちゃん、きゅうりに足さしてたよ」と話してくれた子がいました。
「きゅうりに足?」と聞き返すと「ウマなんだって!おばあちゃんがかえってくるから〜って、やってた!」と笑顔。
それを聞いたとき「ああ、それって“精霊馬(しょうりょううま)”のことか」と、私は心の中でうなずきました。
でも、じゃあそれをどう子どもたちに伝えよう?
『たましいが帰ってくる』って、大人にはなんとなく分かっても、
子どもにとっては見えないものって、ちょっとピンとこないこともあります。
だから私は、こう言ってみました。
「ごせんぞさまが『みんなに会いたいな〜』って、きゅうりに乗って、おうちにビューンってかえってくるんだよ」
「きゅうりが車なの?」
「おもしろ〜い!」
「でも、ナスはね、帰るときにゆっくり帰れるようにする車なんだって。
帰るときは“またね”っていう気持ちで、のんびりね」
すると子どもたちは
「じゃあナスの車も作りたい!」
「きゅうりに乗ってきたら、ジュースあげる!」
と大盛り上がり。
「おばあちゃんにも、おかあさんやおばあちゃんがいたんだ〜」
そんな事を話す子どもたちのなかに“つながっている気持ち”が根づいていくのを感じました。
● 盆だなと飾り物の意味
お盆の間は、ご先祖さまのたましいをまつるための祭壇「盆だな」を設けることがあります。
そこには…
などが飾られます。
地域によっては、1日目はあん入り団子、2日目はおはぎ、3日目はそうめんと日ごとに供えるものを変える習慣もあります。
お盆の絵本を読んでいたとき「せんせい、このスイカ、だれが食べるの?」
という、子どもたちの反応に、思わず笑ってしまいました。
そう、たしかに“おそなえもの”って、子どもにとってはちょっと不思議。
そこに並ぶスイカやだんご、季節の果物──
「食べられないのに、どうして置くの?」って、まっすぐな疑問なんですよね。
「これはね、“また来てね”っていう気持ちと、
“おかえりなさい、ようこそ”っていう気持ちを込めて置くんだよ」
「おばあちゃん、スイカ好きだったのかな?」
「うん、きっと“ありがとう”って思ってくれると思うよ」
そんな会話をしながら、みんなで“お盆ごっこ”をすることにしました。
やっているうちに「もも、好きかなあ」「わたしメロン作ってあげる!」と、思いがどんどん広がって。
大人にとっては当たり前の“行事”も、子どもたちにとっては初めて出会う“物語”。
ひとつひとつに意味があって、誰かの想いが込められていることを、
遊びながら感じてもらえたら、それだけで、十分“伝わってる”のかもしれませんね。
お盆の期間中には、地域の習わしとしてお坊さんに来ていただき、お経をあげてもらうことがあります。
このとき、家族そろって仏壇や盆だなの前に正座し、
一緒に手を合わせることで、ご先祖さまをお迎えする気持ちを表します。
●なぜお盆にスイカをお供えするの?
スイカの“丸い形”は、昔から「縁(えん)」や「円満」を象徴するとされ、ご先祖さまとのつながりを大切にするお盆にはぴったりの果物なんです。カットしてしまうと“縁”が切れるとされるため、丸ごと供えるのが良いとされています
子どもに伝えるときの例:
「まるいかたちは、“えん”っていうつながりの形なんだって。
ご先祖さまとのなかよしの気持ちをこめて、スイカをまるいまま置くのがいいんだよ。」
「水の子」とは、といたお米と、サイコロ状に切ったナスやキュウリをまぜて、ハスの葉にのせてお供えするものです。
これは、ご先祖さまや無縁仏がのどを潤せるようにとの願いが込められた供物です。
「せんせい、“むかえ火”って、花火みたいなやつ?」と聞かれたことがありました。
どうやら、おばあちゃんの家で見たことのある“火”の記憶とつながったみたい。
「うん、ちょっとにてるかもね。
むかえ火っていうのは、遠くから帰ってくる人が、“ああ、この家だった!”って分かるように、目じるしになる火なんだよ」
お盆の最初の日の夕方には「むかえ火」をたきます。
これは、麻の茎や稲わらに火をつけて家の前に置き、ご先祖さまが迷わず帰ってこられるようにする目印の火です。
反対に、お盆の終わりには「おくり火」をたいて、帰っていくご先祖さまをあの世へ無事にお送りするという意味があります。
「ふーん…じゃあ、花火も目じるしなのかなぁ」
子どもって、ちゃんと自分の中でつなげて考えてくれるんですよね。
お盆の行事には、たくさんの“火”が登場します。
むかえ火・おくり火。
それはただの儀式ではなく、“道しるべ”や“おもてなし”の気持ちなんだと、子どもに伝えていけたらいいなと思います。
とはいえ、実際に火を使うのは保育園ではむずかしい。
だから私たちは、キャンドルライトやLEDのあかりを使って“むかえ火ごっこ”をしてみました。
暗いお部屋でやさしく灯る光。
「ごせんぞさま、この火、見えるかな?」
子どもたちは自然と手を合わせたり、静かに目を閉じたり、そこには「大切な誰かを思う気持ち」が、ちゃんと伝わっているような気がしました。
お盆の送り火として、京都では8月16日に「大文字五山送り火」が行われます。
京都の五つの山に、「大」「妙法」「舟形」「左大文字」「鳥居形」の火文字が灯されます。
これは、山の上から“この世”にいたご先祖さまを、あの世へ送り出すためのしるしとされていて、昔から続く、京都ならではの荘厳な行事です。
「ねえ、これなに?」「おうちのまえにぶらさがってるの見たことあるよ」
ちょうちんの絵を見せたとき、そんな声が聞こえてきました。
ちょうちんって“お祭りの飾り”だと思ってる子も多いんです。
でも、お盆のちょうちんには、ちゃんとした意味があるんだよ──
そんなお話をしてみました。
お盆になると、家の玄関先にちょうちんを吊るす地域もあります。
この灯りは、ご先祖さまが迷わず家に帰ってこられるようにする“目じるし”の役割を果たしています。
「おばあちゃんが道にまよわないように、“こっちだよ”って灯してあげるんだよ」
「ちょうちんって、やさしいんだね」
そうつぶやいた子の声が、なんだか胸に残りました。
そこで、子どもたちと一緒にちょうちん製作をすることに。
トレーシングペーパーにお花の絵を描いたり、カラーセロファンを貼って光を通す工夫をしたり──
できあがったちょうちんにLEDライトを入れると、ほんのり明かりが灯って、子どもたちの顔もやさしく照らされました。
「新盆(にいぼん)」というのは、その家族の中で、亡くなった方がいて、初めて迎えるお盆のことです。
ふだんのお盆よりも、特に大切に供養をする風習があります。
子どもたちに伝えるときは「はじめて、お空のおじいちゃんが“ただいま”って帰ってくる夏なんだよ」
というふうに話すと、イメージがしやすくなるかもしれませんね。
絵本で「灯ろう流し」の話を紹介してみると、
「川に流れるの?すごいね」「おばあちゃんも見てるかな」なんて言葉が返ってきて、
静かな時間の中に、想像がふくらんでいるのを感じました。
お盆に灯る“光”は、ただのあかりじゃない。
子どもたちの中では、誰かを迎え、誰かを見送る、やさしい“こころの灯”として残っていくのかもしれませんね。
夕方の園庭で、ちょっと涼しい風が吹いてきたころ。
「ねぇせんせい、なんか音楽ならして、ぐるぐるまわりたい!」と、にこにこ顔で言い出した子がいました。
その子の家の近くでは、夏になると町内会の盆おどりがあるそうで、去年、浴衣を着て踊ったのがとっても楽しかったんだって。
“ぐるぐるまわりたい”──それって、きっと、踊りたいっていう気持ちなんだよね。
「盆踊りってね。おどりながら、“また来てね”って、ご先祖さまにバイバイするんだってさ」
「えー、そんなの知らなかった!」
「おどったら、見えるのかな?」
盆おどりって、ただのお祭りじゃないんだよね。
むかしから、“ありがとう”や“またね”の気持ちを込めて踊っていた。
亡くなった人のたましいを、にぎやかに、そして優しく見送るためのもの。
それを伝えると、子どもたちはとても素直に受け止めてくれた。
だからみんなで盆おどりごっこをしてみた。
なじみのある曲で踊ってみたり、太鼓のリズムに合わせて歩いたり、止まったり、手を上げたり。
郷土芸能のような難しい振りじゃなくても、子どもたちの中に「踊るってたのしい」「誰かのために踊るって、うれしい」って感覚が残れば、それで十分。
地域によって、阿波おどりだったり、エイサーだったり、いろんなおどりがあることも、少しずつ伝えていけたらいいな。
「おばあちゃんち行ったときね、お墓にお水かけたよ!」
そんな声が、連休明けの子どもたちから聞こえてきた。
そっか、お墓まいりをしてきたんだね。
でもやっぱり、子どもにとって「お墓」ってちょっとふしぎで、
ときには“こわい”イメージになってしまうこともあるみたい。
私がある子に「どうしてお水をかけたの?」って聞くと、
「んー、おじいちゃんが、のどかわいてるかもって言ってた」と答えてくれて、
なんてやさしい発想なんだろう…って思った。
保育の中では「お墓」のことをどう扱うか、悩むこともある。
でも、あえて言葉にしてみると、
“こわいところ”じゃなくて“だいすきだった人とつながれる場所”っていうふうに伝えられるなって思った。
「お墓ってね、だれかを思い出す場所なんだよ」
「いまはお空にいる人だけど、“ありがとう”って言いに行くんだって」
そう伝えると、「わたしも行きたい」「○○ちゃんのおばあちゃんにも会ってみたい」なんて声があがって、
“こわい”という印象は、どこかへ消えていったようだった。
行事の意味を伝えることだけじゃなく、その先にある「気持ち」や「やさしさ」を一緒に感じられる時間。
それが、保育の中でのお盆の関わりのなかに、たしかにあるんだなと感じます。
子どもたちと過ごすお盆の季節。
行事を“教える”というより“感じる”ように伝えたい。
そんな気持ちで関わっていく中で、保育のアイデアもいろいろと見えてきました。
ここでは、実際に取り入れやすい活動をいくつかご紹介します。
「おぼんって、なあに?」
たった一言の、子どものつぶやきから、こんなにも深くあたたかな世界に触れられる。
改めて、子どもたちの“問い”の力を感じた。
私たち大人は「行事」や「文化」の意味を知っていても、いつのまにか“こなす”だけになってしまいがち。
でも、子どもたちと一緒に向き合うことで、その行事に込められたやさしい思いや、だれかの願いが、ふわっと浮かび上がってくるような気がします。
お盆の季節は「つながり」を感じる時間。
会えなくなった人のことを思ったり、家族と昔の話をしたり。
子どもたちにとっても、大人にとっても、“あたらしい記憶”と“なつかしい気持ち”が交差する大切なときかもしれませんね。
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