保育・子育てにおける『見守り』には『感情の一時停止ボタン』が必要であるという話【あつみ先生の保育TIPS】
保育における「見守り」とはどういうことか?
日々の保育の中で、子どもの行動に対して、反射的に制止・抑止の声をかけてしまいそうな事がある…
でもそこで、6秒間「自分の感情の一時停止ボタン」を押して、見守ってあげてください。
視野が広がり、見えなかった子どもの心理・思いが見えてきます。
こんばんは!
男性保育士のあつみです。
今回の保育TIPSとして紹介するのは「感情の一時停止ボタン」という技術です。
(もちろん、あつみ先生が自分で勝手にそう呼んでいるものです笑)
この技術を意識する事で、子どもを「見守る」際に…
- 子ども達が、トラブルや問題に対し自己解決できる可能性が広がる
- 子ども達の状況が、より詳しく把握できる
- 子ども達の心理・思いを、より詳しく読み取る事が出来る
- それによって、子ども達に丁寧で適切・質の高い支援・配慮・フォローが出来る
…というメリット・ベネフィットがあります。
この記事を書いた人
あつみ先生
保育士/幼稚園教諭/保育教諭|現役8年目|今年は0歳児担任|SNSフォロワー累計17000人↑|見てきた子ども達は250人↑|保育士ライター(MAMADAYS/ほいくらいふ等)|書籍出版「保育製作365日/100均知育365日」|30万PV保育士ブロガー|ピンタレスト月間250万PV|離乳食インストラクター4期卒セミナー講師|詳しいプロフィールはこちら
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■保育・子育てにおける【見守り】と【感情の一時停止ボタン】とは
子ども達が危険な行動をしそう、ケンカを始めそう、叩きそう、引っかきそう…
といった、保育士や親が思わず、抑止・制止の声かけをしてしまいそうになる時、ありますよね。
そんな時に「保育士が思わず反射的にしてしまう声かけをぐっと我慢して、6秒待ってみる」という技術です。
(別に5秒でも10秒でもいいのですが笑)
咄嗟に出力してしまう感情を「一時停止」するという事ですね。
もちろん、本当に危険な時は一時停止するヒマはないのですが、だいたい子ども同士のトラブル系は、6秒待ってみる価値はあります。
単純に、待つだけでいいんです。
子ども達って、友達同士のトラブルが起きても、自分たちで問題解決できる事も多いです。
ここで保育者の仲介を、早めてしまうと、自分たちで問題解決する機会を、奪っていく可能性もあるのです。
私は子ども達の見守りには、この待ち時間というのが必須であると考えております。
感情の一時停止ボタンとは、
【大人が感情的になる瞬間を【停止】し、子どもの感情・状況の分析にあてる】
という方法です。
- なんで、この行動が起こっているのか?
- なんで、こういう状況になったのか?
- こうなった背景は何か?
- 今の子どもの気持ちは?相手の気持ちは?
だいたい、大人が感情で子どもを押さえつける際、子ども自身の気持ちは無視・封印されて終わる事になります。
ここをしっかり、探っていき、本人から発信してもらう、と言う事が大切です。
●分析をし、正しく共感する事で、子どもの心に寄り添う事が出来る
例えば、子ども達同士のトラブルで、おもちゃをとった・取られたという事があった場合。
これ、背景を分析せずに事実単体で見ると、おもちゃをとって相手を泣かせた側が悪く映る事が多いです。
これにより、保育者・大人が感情的になってしまうと、片方を一方的に責めがち・怒りがちです。
でも、そこで6秒間「感情の一時停止ボタン」を押してみてください。
そこから、見守って子どもの状況を分析する事に徹すれば、だいたい背景が見えてきます。
見守らず、感情的になると
「お友達泣いてるよ!ダメでしょ!」
という表面的で一方的な声かけになるでしょう。
ただ、感情の一時停止ボタンを6秒間押して、子どもの分析にあてて共感から始めると
- 「どうしたの?」
- 「そっか、欲しかったんだね」
と言った、共感の一言から始まります。
感情的になってしまうと、目の前のトラブルをなんとかして収めようと、大人の権力・強引な力技で子どもの気持ちをねじ伏せようとする振る舞いを起こすことがあります。
もちろん、表面上は解決した事にできるでしょう。
ただ、子どもの心の中には、どんどんモヤモヤが積もっていく事になり、大人への信頼感をジリジリと減らして行く事になります。
人は、自分を分かってくれたと思わなければ、相手の話を聞こうとしません。
この心理は、大人も子どもも、同じです。
「あ、この人…この先生、全然わかってくれてないな」
…と思うと、心理的に相手をブロックします。
良くも悪くも、子どもって純粋です。
一言、共感のフレーズを挟む事で、自分の心にも、相手に対しても、素直になれる事が多いです。
●【分析&共感】水道で水遊びをしている子どもへの声かけ
本当によくある光景なのですが、子どもが手洗いに行ったまま戻ってこない…
見に行ったら、水遊びを楽しそうにしていた…という場面、よくありますよね。
この時、感情的になって叱ってしまうと…
「何してるの!水道は遊ぶところじゃないです!早く手を洗って戻ってきて!」
という声掛けになります。
泣かせて怖がらせて従わせるのは、感情的になればいとも簡単です。
しかし、感情の一時停止ボタンを押し、6秒、その様子を見守ると…
- 「水遊び、楽しいんだろうなあ」
- 「石鹸の泡、面白そうにしてるな」
- 「鏡に水をわざとかけてる…」
- 「…ああ、もっと水遊びがしたかったのかな」
…と言ったように、子どものいろんな心理を分析できます。
すると、子どもへのどんな声掛けをすればいいのかが、見えてきます。
「おーすごいな!面白そうやな!
水遊び面白かったの?
そうやんなー面白いよね!
明日、みんなで水遊びしてみる?
石鹸もいれて、泡遊びもしよっか!
よっしゃ、じゃあ明日やってみよ!
あー…でも、ここビチャビチャやなあ…
滑ってこけたら(ケガしたら)遊べなくなるから、一緒に拭こっか
明日、いっぱい水遊びできるようにするから、ここでは水遊び、やらんとってくれる?」
これは例ですが、私ならこんなカンジ・流れで声掛けしていくと思います。
水遊びの時間をたっぷりとる事で、トコトン満足出来れば、水道で遊ぶ事も減るかもしれません。
感情的にバッサリ切り捨てる事は簡単です。
でも、いかに子どもに、自分で納得して動いてもらえるかが重要だと考えています。
一見遠まわりに見えますが、信頼を傷つけない・積み重ねる事で、今後に繋がっていくと思いませんか?
★「子どもが話を聞いてくれないんです」の原因は自分である
クラスの子どもが話を聞いてくれない…という悩みを持つ保育者も多いですが、良くも悪くも子ども達って、担任の鏡です。
子ども達が話を聞いてくれないのは、だいたいの場合、それまでの関わりに問題がある場合が多いです。
保育士が子ども達の話・気持ちを理解しようとせず、感情的になって、押さえつけてきた…そんな歴史があるからです。
■いわゆる「見守り」という技術
見守りとは、ただ、単純にケガがないように見ているだけ、と言う事ではありません。
(危険の無いように、というのは特筆すべきことではなく、当たり前であり前提です。)
こどもの生活・活動の中における、様々な出来事に対して、どうすれば未来に、育ちに繋がっていくのかと言う事を、想像力を働かせて、大人が配慮・支援・フォローしていく事です。
●子どもの思いを封印・無視したクラス運営の結果
だいたい、大人が感情的になると、子どもの気持ちや意見やを聞く前に、正論や常識という大義名分を振りかざし、個人の価値感をぶつけ抑圧して抑え込みます。
子どもが自分の気持ちを発信させる余地を与えません。
これを繰り返すことで、子どもは恐怖におびえ、大人への信頼感を失い、身を守るために盲目的に従う・また、いい子を演じようとする事でしょう。
だいたい「先生の話をしっかり聞く、いい子ちゃんばっかりだな、このクラス…」と感じるクラスって、恐怖と規律で統制されてきたクラス運営の積み重ねがある場合がほとんどです。
(あまり個人的な感覚の話をしたくはないのですが、子どもらしさを消された子ども達、という違和感で感じる事が多いです。)
子どもの想いを無視・封印しつづける事が、果たして未来につながる・将来を生き抜く力に繋がるのでしょうか。
これは幼児教育の本質なんですけど、キーワードは「未来を見据える事」です。
抽象度が高い表現ではあるのですが、子どもの未来を考えれば、感情的・短絡的・抑圧的・反感的な関わりはマイナスな影響しかありません。
もし子ども達に、自分から発信できない・行動できない・指示を受ける事しかできない人間に育ってほしければ、子ども達の心理・行動の分析は必要ありません。
いくらでも感情的になってください。
子どもの気持ちを無視し、縛り続けるクラス運営をしていれば、20年後、ディストピアがより加速しています。
●『見守る』時には『感情の一時停止ボタン』もセットで使おう!
と言うわけで、見守りってケガがないように過ごすだけではありません。
未来を見据えた関わりをするために、共感するために必要な【感情の一時停止ボタン】を使っていきましょう♪
【感情の一時停止ボタン】とは、出来事・物事の背景と原因・こどもの状況を探る、分析にあてる時間の事です。
6秒間、分析する事で、丁寧な共感が出来、精度の高い配慮・支援・フォローが出来る、と言う事です。
今回のTIPSはこれでおしまいです。
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