愛情の器という考え方を簡単に解説【あつみ先生の保育TIPS】
「子育て・保育には愛情が必要である」とか「愛情が足りているor足りていない」
…とかいう表現が、ものすごく嫌いなあつみ先生です、こんばんは!
以前の「抱っこが及ぼす効果に関する記事・動画」の中で、
「『愛情の器』という考え方をしましょう」
という事をお伝えしました。
その際、わりかし反応があったため、その事柄についての追記・深掘りした記事としてお読み下さいね。
この記事を書いた人
あつみ先生
保育士/幼稚園教諭/保育教諭|現役8年目|今年は0歳児担任|SNSフォロワー累計17000人↑|見てきた子ども達は250人↑|保育士ライター(MAMADAYS/ほいくらいふ等)|書籍出版「保育製作365日/100均知育365日」|30万PV保育士ブロガー|ピンタレスト月間250万PV|離乳食インストラクター4期卒セミナー講師|詳しいプロフィールはこちら
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■愛情をパラメーター化する事は出来ない
さて、冒頭で、私は「愛情がうんぬん…」といった言い回し・表現がキライとお伝えしました。
ただ、別に【愛情】という言葉は、別に嫌いじゃないです。
嫌いじゃないというか、言葉の意味そのものに好きも嫌いもないですよね。
ただ、この「愛情」という言葉を”何かの評価基準”として、使うのがキライ、と言う事です。
「愛情が足りてる」とか「足りてない」とか言う言い回しを、やたらと多用する大人に、ロクな人間はおりません。
例えば…
- 「問題行動が多いのは、親の愛情が足りてないからだ!」
- 「あなた本当に、自分の子どもの事が好きなの?愛情足りてないんじゃない?」
といった、保護者にとってのスーパー地雷フレーズ、一方的な攻撃・責め方をする保育士や、子どもに関わる仕事をする連中が、当たり前のようにうじゃうじゃと存在する福祉の世界があります。
一方的で、当人たちの事情・心境を全く理解せずに『愛情不足』というワードを投げつけるというのは、ただの暴力であると思いませんか?
■愛情不足という言葉の暴力性
愛情の表現方法や愛情の形、その受け方や結果って、あくまで当人同士で意味があるものです。
「愛情不足」という評価は、単なる外部評価であり、その現実を責めるために押し付けるものじゃないです。
器の大きさも、器の形も、人それぞれ、受け手による組み合わせも、千差万別です。
形を持たない、抽象的な事ですので、その表現方法、受け取り方は決めれるものではありません。
それに適した愛情の注ぎ方ってのは、本人同士の関わりでしか、分からないものです。
抽象的でボヤっとした愛情という概念に、対して、上から目線で偉そうに、愛情が足りてるだの、足りてないだの、スコアで計り評価する事に、意味はありません。
考え方が価値感が違うから、愛情と言う言葉はもっと丁寧に・慎重に使う必要があります。
時には誤解が生まれる事もあります。
●「愛情の器」は、たとえ表現
私はどちらかというと、ボヤっとしたままの表現で誤魔化されるよりも、結論を出したいし、ハッキリと伝えたいタイプです。
…が、そんな私が、抽象的すぎる「愛情の器」という考え方・いい方をしているという矛盾。
その理由は「愛情」が定義しにくいものだからです。
- 人により受け取り方や感じ方が違う
- 意味づけの強弱の差がある
- それに対する価値感がみんな違う
…こういった特徴をもつものだからこそ、という理由で「愛情の器」という表現を使っています。
『器』という、たとえ表現にすることで、不思議としっくりきた、分かりやすかったからです。
■愛情の器の容量と形状の違い・個人差の存在
アタッチメント・信頼関係や、愛着形成に関して勉強を進めるほどに「愛情の器」と言う表現・たとえが、非常にわかりやすいと実感しています。
自己肯定感や自己愛が育つプロセスとして…
- まずは自分が、十分に愛される事・愛を感じる事が出来る必要があります。
- それにより、自分の存在を自分で認める事が出来るようになります。
これを器に愛情を注ぐというイメージで考えてみます。
その器には、大きい、小さいなどの個人差があり、形も違います。
また、その器が割れている場合や、穴が開いている場合もあり、それに気づかない場合もあります。
この器が満たされる事で、自己愛が十分に育ちます。
これにより、安心して外の世界に向かう事(探索・発信)が出来るようになります。
●愛情の土台がグラグラのまま、甘えさせることを許さない大人も居る
中には、早く自立してほしい、甘やかしたくないからといって、器の中にロクに愛情が注がれていない状況で、突き放す人もいます。
でもそれって、土台がグラグラで、ちょっと押せば倒れる積み木のように、非常に脆いものです。
満足に探究するエネルギーがない状況ですので、何をやってもしんどい、つらいという状況になります。
ただ単に、自立を早めたいからと言って、愛情が満たされる前から突き放す理由はありません。
厳しく接する事が目的になってしまっている人は、自己愛形成のプロセス、発達理論を全く理解していない、と言う事です。
●「愛情あふれる人」という表現
逆に、愛情が満たされ、満タンになると、それ以上注がれる愛情は、溢れてこぼれだします。
その愛情の向かう先は…身の回りの他者の、愛情の器です。
あなたのまわりに、もしくはあなたがこれまで出会った人の中に『愛情あふれる人』と感じる方に出会った事はありませんか?
そういった方は、すべからく、沢山の愛情を受けて育ってきています。
また、生活の中で、いろんな人から愛情を受け取る事が出来、他者に愛情を注ぐことを、しています。
まずは自分が愛されて、自分の存在を自分で認める事が出来て、その先に、他者に向けられる・与える愛情がある、と言う事なんですね。
いろんなマンガやドラマで、何回このフレーズが使われたのか分からないのですが…
「自分の事を好きになれないやつが、相手の事を好きになれるわけ…ないじゃん!」
というセリフ、本当によくありますよね笑
でも、実はこれ、的を射た文章・セリフなのですよ。
ほんと、まさにこの通り笑
●余談:愛情不足の人ほど、与えたがる傾向もある
愛情不足という言葉はあまり使いたくないし、誤解を招くことを承知で、あえて断言するならば…
自分の愛情の器が満たされてない人ほど、自己犠牲を払ってまで他者に愛を注ごうとする傾向があります。
(これは正確なデータはなく、私の人生で、生きてきた中での体感と統計です笑)
例えば…
- 親との関係が上手くいってない人は、保育士になりたがる傾向が強い
- 鬱っぽい症状を抱えてる人ほど、カウンセラーや臨床心理士になりたがる傾向が強い
といった感じのイメージです。
主に、献身的に人のために頑張りたい、と思ってしまう傾向がみられます。
自分が満たされてなかったからこそ、他者はそうなってほしくない…と言う心理が建前としてあります。
が、この本音は、自己肯定感、自己愛が育たなかったゆえに、自分を自分で認める事が出来ないため、自己重要感、自己価値を外部に求めようとしている、という分析が出来ます。
もちそん、その気持ちは素晴らしいのですが、これって大抵、いびつな形になったり、仕事をしながらも、本人は苦しかったりします。
本当に誠実に向けられる、他者への愛は、やはり自分を信頼しているか・信じているかという前提・心理的な土台の上で、自然と発せられるものです。
■愛情を与えるのは、親でなくてもいい
子どもにとって、一番ほしいものは、親から愛情を受けられる愛情です。
BESTは、幼いころに両親から愛情をたっぷりと受け取れる事です。
ただ…もし幼少時に、満足に器を満たせなかった状況・現実があると、リカバリーはどんどん難しくなってきます。
成長すればするほど、時間が経てばたつほど、愛情の受け取り方が苦手に・素直に受け取りにくくなってきます。
ただし…この愛情を注ぐ人というのは、自分を受け止めてくれる人であれば、親以外の他者でもその役割が担えます。
そんなふうに、信頼できる、尊敬できる人に出会えるかどうか…
友達でも、先輩でも上司でも…愛のあふれる、自分を受け止めてくれる人がいるか、と言う事ですね。
◆徹底的な自己啓発で解決に向かう事もできる
自分の抱えた問題を解決する方法として「自己啓発」というものがあります。
ただ、本題と話が逸れてしまうので、折り畳みにて、読みたい人だけどうぞーなのです。
■溢れるほどの愛情を子ども注げば間違いない
ここまで話で、導かれる結論としては、とにかく子どもが、
「もう抱っこもヨシヨシも要らない!それより友達と遊びたい!」
「(抱っこもヨシヨシも)恥ずかしいから、もうやめて!」
と言ったように、愛情を求めなくなるまで、ひたすらに愛情を注げばいいんです。
むしろ、愛情が満タンになっても、愛情を注ぐ事を、やめなければ良いんです。
溢れた愛情は、その子の友達や、他者に向かいますので、
前向きで誠実な、他者を思いやれる人格が形成されていきます。
エネルギーにあふれ、他者を元気に出来る子に育ちます。
それにより、よりよい人間関係を築く事が出来るようになるため、協力していく事で、いろんな物事を成し遂げ、達成感を一層、感じる事が出来る、いいサイクルが出来上がります。
これが、愛情の器という考え方です。
『愛情は、いくら与えても、与えすぎることは無い』
このキーワードを意識しておくだけで、OKです。
今回のTIPSはこれでおしまいです。
他の記事なども、是非お読みくださいね。
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